[やらしそうなボディライン]最近聴いてる20231212[メロンジュースのように溢れる寸前]

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The drums - Jonny

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気がついたらジョニー・ピアースのソロ・プロジェクトとなって久しいthe drumsの新作。Jonnyという直球のタイトル。そしてこのジャケ。ありのままの俺!って感じがビンビン漂ってる。
サーフロックっぽい「ポップ」と「枯れ」を感じるメロディ、リバーブのなかで繊細な響きが美しいギターサウンド、それらを引き立てるシンプルなビート、ファーストの頃はバンド編成だったものの彼の作風はずっと一貫している。言語化するのも野暮だが上がりきらない不完全燃焼のエモさというか。もう俺にとっては彼がどんな音を鳴らそうが抗えないし、そういうふうに思っているファンは世界中にたくさんいると思う。今作だってそう。リコ・ナスティとコラボしてバウンシーなヴェイパーウェイヴっぽいことやってても全然ブレない。

ちなみにこのジャケ、彼のセクシャリティ(ゲイ)を認めていない父親のオフィスで撮られたんだそうだ。抑圧された「ありのままの俺!」と対峙する世界との賭けって感じ。




Blur - The Ballad of Darren

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ブラーの最新アルバム。2015年にリリースされた「Magic Whip」はところどころブラー風味はあったものの、その前年に発表されたデーモンのソロ「Everyday Robots」のモードに引っ張られている部分がかなりあった印象なんだけど、今作は輝かしい若い時期も過ぎ去った後の中年の枯れも内包しつつ、とてもロマンチックな「らしい」アルバムになっていると思う。

で、その「らしさ」って何か?というとやはりグレアムのギタープレイ。鍵盤が前に出る曲は潔く弾かない、なんてバンドも今どきたくさんいるのにブラーはブリットポップ期からさまざまなアプローチでギターを入れてくる。曲のイメージに合わせて水彩絵の具にもペンキにもステンシルペイントにもなるグレアムの器用さがデーモンのソングライティングを合わさって初めてブラーのサウンドになるんだと再確認。




藤井洋平 - Extasy

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共同プロデュースにceroの荒内佑を迎えた10年ぶりとなるサードアルバム。
"i wanna be your star"や"Can't Stop the Music"に顕著な強靭なフックを持ったプリンス愛溢れる80'sサウンドや、サンプリングメドレーが楽しい"D.T.T.M."のようなファンクが中心かと思えばトレヴァー・ホーンのアレみたいな近未来へのポジティヴなムード漂うポップソング"意味不明な論理・方程式"もあったりして聴いていて飽きない。
「家庭教師」の頃の岡村靖幸のような闇雲な説得力。カクバリズムってすごい。まだこんな弾残ってるのか。懐が広すぎる。




民謡クルセイダーズ - Tour of Japan

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民謡クルセイダーズのセカンド。日本民謡とマンボ・クンビア・カリプソなどといったラテンミュージックとの邂逅というバンドコンセプトを明確に示したファースト『Echoes of Japan』リリース後ヨーロッパ、ラテンアメリカなど様々な地域で支持され(ワールドツアーに同行した彼らのドキュメンタリー映画「BRING MINYO BACK」も必見)、満を辞しての今作。
辺境音楽の掛け合わせだけだったら戦後歌謡界から存在していたけれど、豊作祈願や仕事歌、宴の騒ぎ歌という民謡の根っこのコンセプトを咀嚼した上でダイナミックに21世紀にアップデートしていて、またそれが福生という土地から生まれたというのも興味深い。

なんとなく来年末あたり、元ちとせwith民謡クルセイダーズで紅白出てそうな気がする。