[半年ぶりのベッドで]最近聴いたCD201902[セクシーヨガ汗ばんでる]

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Elektro Guzzi - Polybrass

オーストリア出身の3ピースバンドElektro Guzzi。2004年のデビュー以来Battlesみたいないわゆる人力エレクトロ系バンドの彼らが、このアルバムではトロンボーン奏者をフィーチャー。



もともとShobaleader Oneのような同期なしの完全人力演奏だったバンドに3本の金管の共振が加わったことで、まるでアナログシンセのようなテクノマナーに忠実な響きになっていて痛快。でそのあたりおそらくメンバーも自覚的で、特にホーンセクションがテクノのフィルタの勘どころを掴んだ演奏を心掛けているのがまた憎い。 呼吸を整えるかのようにゆったりとしたロングトーンで構成されたトロンボーンのアンサンブルからディープハウスっぽい展開になだれ込む冒頭「Backlash」なんか圧巻。



にしてもテクノというジャンルにおいてテクノロジーが進化すると当然サウンドは横並びになっていくから最後にはフィジカルな部分(演奏技術)がクローズアップされる、というのはだいぶ前に予想がついていたんだけど、テクノの成り立ちと逆の進化を遂げるこういうバンドの音を聴くのは楽しい反面、ミュージシャンもリスナーも成熟しきってしまって、もう楽器が弾けない奴らがよってたかって機材をいじり倒して、そのなかで見つけた気持ちいい音が口コミで世界に共有される、みたいなパンキッシュな時代は遠い昔の話になってしまったのかな、と思うとすこしだけ寂しい気持ちになるね。



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Girlpool - What Chaos Is Imaginary

LAのガールズ・フォーク/ローファイ・デュオGirlpoolの2年ぶりとなる新作。このブログを読んでくれている皆さんにはだいたいお察しかもしれないけど

「アメリカ西海岸の枯れた感じ」
「フォークっぽいガレージサウンド」
「インディ感あふれる未成熟な感じ(平たく言えばヘタウマ)」

というのは昔から俺の大好物で、例に漏れずこのバンドの前作「Powerplant」も愛聴していた訳で、CDショップでも何も考えずに手に取りジャケットを見たんだけど、すぐにあれ?なんかおかしい・・・と思って。



で、これが2015年のライブ映像。



そう、メンバーの片割れが性転換して男性になってた。いまどき珍しいことではないし同性愛者に偏見はないつもりなんだけど、けっこう面食らった。1曲目"Lucy's"なんてThe Jesus and Mary Chainかと思うほどの男声だし。プライベートでもパートナーだそうで、それもあってか繊細で柔らかい部分が表現力豊かなグループだなぁとつくづく思う。彼らは見えている世界が俺と違う気がする。



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The Specials - Encore

"KING OF 2TONE"ことスペシャルズ、オリジナルボーカリストのテリー・ホールが再加入したニューアルバム。10年前から再結成してライブツアーは行っているもののテリーが歌うニュープロダクトとしては実に38年ぶり。後追いの俺からすれば伝説上のものでしかなかったスペシャルズにやっと追いつけただけでもうれしい。シリーズもののミステリー小説の序盤の謎がようやく伏線回収された感じ。



内容的には1stのようなストレートなスカサウンドは影を潜め、ブルーアイドソウルやファンクといった成分多めの構成。といっても退屈な内容にはなってなくて、もうすぐ還暦を迎えるテリーの色気がいっそう映えるサウンドで、伊達男っぷりに拍車がかかっている。

亡くなっているメンバーもいるのでライブではオーシャンカラーシーンやリバティーンズのメンバーといった彼らのチルドレンが参加しているものの、メンバーはテリーとベースのホレイス、ギターのリンバルの3人。ひそかに期待していたキーボードのジェリー・ダマーズはやっぱり今回のアルバムも参加していなかった。いろいろあるのかね。難しいね。



そんな中、「プリンス・バスターに耳を傾けてはならない」というリリックから始まる"10 Commandments"でボーカルを務めるサフィーヤ・カーンて誰だろう?と調べてみたところ、イギリスの極右政治団体に取り囲まれたヒジャブ姿の女性を助けようと笑顔で割って入った時の写真がSNSで大きな注目を集めたパキスタン系イギリス人女性なんだそう。

2017年 サフィーヤ・カーンの微笑み

この報道時に彼女がスペシャルズのTシャツを着ていたのを見てスペシャルズ側からオファーを出したのだろう、きっと。 もともと人種のるつぼのようなメンバー構成だし、"Free Nelson Mandela"と歌っていた彼ららしいエピソード。(真相は知らん)



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246911 - SPIN MASTER A-1 & Shing02

Shing02+SPIN MASTER A-1の黄金タッグの新作。Shing02の日本語詞アルバムとしても実に11年ぶりとなるこのアルバム、コンセプトは"和"。



人間の欲深さを端的に物語に落とし込んでいるさまがまるで「日本昔ばなし」のような"狸"や、"徳と業を積むよりも、行である"というパンチラインがシビれるタイトルトラック"来世"(この英語タイトルが"Next"というのがまたかっこいい)など、デビュー当時からマイペースながらも決してアクセルを緩めることなくブレずに発信し続けるShing02もすごいけど、ともすればスーパーマーケットの店内BGMクラスのダサいものになってしまいがちな非常に難しい「和」の素材をソリッドでクールなトラックに仕上げるSPIN MASTER A-1の仕事も見事。それは同発のインストverを聴いても明らか。

蛇足だけどSPIN MASTER A-1の「逆輸出」プロジェクトもとてもクールなのでチェックしてほしい。(BAKIBAKI周辺のアーティストはどれもかっこいい。全盛期のヒプノシスのよう)



bandcampに"Honolulu"ってタグが付いているのはなんでだろう?と思ったら、Shing02って現在ハワイ在住なんだそうだ。もっと湿っぽいところに住んでるイメージだった。