[どきどきするべきだぜ]最近聴いてたCD20160314[歴史上の史実のように]

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Daughter - Not to Disappear

Hostess界隈でも話題沸騰、ドーターの3年振りとなるセカンドアルバム。
現在の看板アーティストのセント・ヴィンセントやグライムスを筆頭に、グランジやアシッドハウス、エレクトロニカ・ダブステップに至るまで、かなり振れ幅が広いものの根っこの部分で耽美なアーティストを多く擁する4ADレーベル、このバンドも例に漏れず。エレナ・トンラの色気があって湿っぽいんだけど不思議と透明感のある声がパーソナリティの大半を占めていると言ってもいいと思う。



セカンドとなるこのアルバムはデビューアルバムと較べると、いろいろ手を出してきた感あり。だいたいそういうのってこなれた感じにならないケースがよくあるんだけど、エレナ以外の2人が相当器用なのかも。



数年後、エレナがソロデビューしないことを切に願う。

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Animal Collective - Painting with

2000年以降のUSインディシーンを語るうえで最も重要な土地のひとつ、ボルチモアの筆頭アーティストのひとつ、アニマル・コレクティヴの新譜。以前から最先端のサンプリング・DTM技術を駆使しつつ、ポップとサイケを行き来するカレイドスコープみたいなバンドだったけど、このアルバムを最初に聴いた時にイメージしたのはビーチボーイズ。キャッチーでハッピーなコーラスワークに溢れている冒頭の「FroriDada」なんて特にそうだ。



そしてビートが効いてる。今までだって「マイ・ガール」みたいな結構ビートが強調されている曲もあったけど 今回はまるでR&Bみたいなコンテンポラリーな曲もある。録音されたのはヒットチャートの常連たちがこぞって使用するハリウッドのウエストレイク・レコーディング・スタジオ。これまでだって相当売れてるバンドだけど、そのさらにネクストドアを蹴破る勢いで叩きつけた挑戦状のようなアルバムだと思う。

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Andrew Weatherall - Convenanza

ロンドンクラブシーンの生き字引、アンディ・ウェザオールの7年ぶりとなる新譜。イントロが終わって、ポストパンクっぽいビート、一瞬だけ登場するトーキングヘッズの「サイコ・キラー」のギターカッティング、極太ベースラインとディレイまみれのトランペットが鳴り響く2曲目「Frankfurt Advice」だけ聴けば、「ホーンテッド・ダンスホール」にヤラれた青春時代を送った人間(含俺)だったら「俺たちのウェザオールが帰ってきた!!!」と拳を握りしめながら言いたくなる内容。



先日のジザメリ「サイコ・キャンディ」再現ライブ後に友人と話していて、「ジザメリにあってマイブラにないもの。それは男のロマンだ。」という着地点に落ち着いたんだけど、ウェザオールの鳴らす音もいつだって男のロマンに溢れてる。でもこういう音楽いまどき流行らないよね。


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筋肉少女帯 - エリーゼのために

馬鹿テクピアノを多用した80年代のエディ在籍時から、橘高・本城の鬼ツインギター化にシフトチェンジし、その円熟期に位置する92年リリースのアルバム。「サンフランシスコ」「これでいいのだ」「釈迦」などたくさんの名曲がある筋少だけど、アルバムとしてはこの作品がバランスいい気がする。
でこのアルバム何がいいか?と問うならば、それまでまったくといっていいほど洋邦ミュージックシーンの"旬"とリンクしていなかった筋少にとって、いい意味で「時代性」が強く打ち出されてる点。主においちゃんの趣味だと思うんだけど、このアルバム後からシーケンスをつかったミクスチャー/へヴィーロック系に音がシフトしていく筋少の、前哨戦的なムードが漂ってる。
これよりちょっと前に盛り上がっていたミクスチャーの最右翼・リンボーマニアックスばりのファンクビートに「テレビもねぇ、ラジオもねぇ」と吉幾三ばりのリリックが繰り広げる「ソウルコックリさん」、レッチリがスティーヴィー・ワンダーをカバーした「higher ground」の完全コピーなんじゃないかと耳を疑ってしまうほど精巧に出来ている「世界の果て」。「生きてあげようかな」のコーラスがかったアルペジオはXTC「キング・フォー・デイ」かな。当時のオンタイムの洋楽を聴いていたリスナーだったらよくも悪くも元ネタがすぐわかる。



「スラッシュ禅門答」もX JAPANみたいだけど、あれは橘高先生の名人芸。もちろんオーケンの世界観は言わずもがなだけど、サウンド面で元ネタ丸出し状態で大鉈を振って大改革をおこなっている。
92年といえば、それまでガンズ的なスタジアム級のHRが占めていたロックチャートをニルヴァーナが轟音と虚無で塗りつぶしていたころ。それを考えながら聴くと痛快。