[綺麗な水飛沫をあげながら]最近聴いてたCD20151016[バタフライしたいよ]

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Public Image Ltd - What The World Needs Now...

俺が勝手に思っているだけだけど、ジョン・ライドンという人間は、エキセントリックなパンク・スターというよりかは、底なしの知性とエンターテイメント性を兼ね備えた、穏やかで聡明な人間なんじゃないかと思うのだ。21世紀になってコメディアン化した後もそのイメージは残っていて、そしてなにより音楽が好きな人間なんだな、というイメージだ。



再結成PiLとしては2枚目のアルバム。キース・レヴィンやジャー・ウォーブルも居ないものの、アルバム中盤は「Metal Box」のような陰鬱でヒリヒリとした独特な感覚も垣間見れて、昔からのファンも裏切らない。
でも、やはりこのアルバムは冒頭の"Double Trouble""Know Now"の2曲の破壊力に尽きる。もうすぐ還暦だってのになんなのこのテンション。


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Baio - The Names

Vampire Weekendのベーシスト、クリス・バイオによるソロ・プロジェクト。これまで公開していたエレクトロなインスト群からうってかわってバイオ自らが歌いまくっていて、これが意外にもセクシーな声。そしていまどき珍しいんだけど、アルバム通してテンポが統一されていて、アルバム1枚細かいたくさんの展開と大きなうねりがあって楽しい。コレはシャッフルで聴いちゃだめだ。



前も話題にあげたけど、Vampire Weekendって最先端のDTM技術を駆使しながら、根っこで鳴らすのはトラディショナル/ルーツミュージックだったりするところにすごさを感じているんだけど、このアルバムも例に漏れず、トータル的にはエレクトロニックダンスミュージックなんだけど、瞬間瞬間の切り口がビーチボーイズだったりグラム・ミュージックだったりドゥワップだったり、そういう過去の音楽に対して誠実な姿勢を持っているところ、そしてそれを説教くさくないポップミュージックに仕上げるところ、本当にすごいなと思う。


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Ykiki Beat - When the World is Wide

同世代の友人と音楽の話をしていてよく話題に出てくるのは「最近の若い洋楽ギターロック系のバンドって、だいたい何かにPassion Pit か Foster the Peopleを掛け合わせたようなバンドばっかりだよなぁ。」って話。本当に個性がないのかもしれないし、40歳の中年にはその微妙な差異が聴き分けられていないだけかもしれない。だけど実際面白いくらいにだいたいこの公式で合点がいく。

Ykiki beat。Passion PitとPhoenixとThe1975を足して3で割らない、みたいな青天井の音像も、strokesのジュリアンを髣髴させる少し粘っこい声も、フッキーな全英詞のメロディラインも、同世代の洋楽と比較してもまったく引けをとらない。すべてが青い(と書いてエモいと読む)。若い!!眩しすぎる!!



初めて彼らの演奏を観たのは去年のThe Drumsの来日公演のフロントアクトで、若さの固まりみたいな素晴らしいライブだったんだけど、それ以上に、ライブ後、わざわざ人目につく喫煙所に現れた彼らが「やってやったぞ!」と興奮しきった気持ちを押し殺して、冷静を装いながらタバコを吸っていたひとコマをみて、そのシチュエーションがまたとても青臭くてキラキラしてた。自分が身を置く周りの環境に対して、背伸びして「ここではないどこか」をイメージしたり、少し斜に構えたりするのは世間知らずで青臭いことだ。だけどそれは何物にも変えがたいほど魅力的だ。


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Ride - Going Blank Again

美少年達がうつむいてギターで轟音を鳴らすところから、90年代UKシューゲイザーの代表的バンドの1つだったライド。今年再結成して世界中のフェス行脚、そして来月単独来日公演と、俺は早くも心躍りまくっているんだけど、ライドで1枚選べ、っていったら迷わずこれを推す。

3作目となるこの作品では、それまでの「Chelsea Girl」や「Like A Daydream」などといった、この人たちのお家芸と言ってもいい微炭酸の荒波にガバッと潜りこむような轟音サイケデリック・サウンドもありつつ、60年代を彷彿させるポップな旋律があったり、打ち込みをちょっとおぼえたりしていて、荒削りながらもなかなか面白いバランス。



この後の彼らは、のちにオアシスに加入することになるアンディ・ベル色がどんどん強くなっていって「(悪い意味で)よくあるUKバンド」になっていくんだけど、この作品のライドは「無骨ながらも刹那な若気のいたり」と「UKポップミュージックの本質」の両方がいいバランスで混ざってて今でもよく聴いてる。



iTunesでは、シングル「leave them all behind」のカップリングに入っていた11分にも及ぶインスト「grasshopper」が収録されているのがファンとしてはうれしいところ。ちなみにこの曲、俺ん中ではぶっちぎりで彼らのベストトラック。