FFS - FFS
スパークスとフランツフェルディナントの合体バンドのアルバム。
8年もの歳月を構想に充てたそうで、取ってつけたようなコラボ感は皆無。スパークスのもつ上質な漆塗りのような重厚な光沢感と、猥雑なぬめりを持ちあわせた旋律が要所要所で出てきて、いかにも!と嬉しくなってしまう。スパークスの新譜扱いしても遜色なさそう。
その一方でFF。昔からのファンは今回のコラボをどう思うかわからないけれど、ひとクセもふたクセもあるスパークスを料理できて、上品なクドさを殺さない現役のバンド、って言ったらFFくらいしか思い浮かばない。
メイル兄弟も弟ラッセルが63、お兄ちゃん(若花田)に至っちゃ66!続けていくのも大変なので、YMOのようにいい感じの若い(実際はそんなに若くない)衆を連れだして活動してくれたら、すくなくとも俺は嬉しい。
Alabama Shakes - Sound & Color
グラミーを獲ったデビューアルバムから3年。待望のセカンド。
ゴスペル、ブルース、ソウルあたりのルーツミュージックを彷彿させるハワード姐さんのボーカルのポテンシャルももちろんだけど、粗削りだったデビューアルバムと較べると、アナログ感の暖かみみたいなものが出す「間」がぐいぐい来る。休符が際立つ音楽というか。
その感覚は冒頭のタイトルトラックからフルスロットルで、ワクワクするような空気感だけでもうヤラれる。あとなんでかわかんないけど、ずーっと聴いてるとレッドツェッペリン聴いてるような気分になる。
にしても最高だな、このMV。
YMCK - Family Dancing
クイーン・オブ・チップチューンYMCK、1年半ぶりの6枚目となるニューアルバム。
センチメンタルでエモかった前作「Family Days」と比べると、ライブのパフォーマンスが目に浮かぶような躍動感ある楽曲が並んでいる印象。
世界観を忠実に表現した緻密なサウンドとチャーミングなボーカル、「モニターの向こう側」を徹底的に演出したビジュアルでうっかり騙されてしまうけれど、誤解をおそれずに言うと彼らの8bitサウンドは「目的」ではなく「手段」であって、根っこのサウンドを紐解けば、ジャズやフレンチポップだったり、昭和のフォーク・ニューミュージックなど、普通の(その時点でぜんぜん普通じゃないんだけど)ポップスだということは案外簡単に導ける。今作だって然り。シンコペーション多めのベースラインとか昔っからいつも結構エグい。
数多存在するチップチューンのアーティストの中で彼らが世界レベルでワン・アンド・オンリーな存在でいつづけているのはそれが理由だと思う。悔しいくらいにトリックスター。
Faith No More - Sol Invictus
フェイス・ノー・モア、18年振りの新作。18年振りとはいえ、去年のPixiesのように数年前から精力的な再結成ツアーを敢行しているので、ファンからすれば「ようやく」という見方のほうが強いかもしれない。
どっしりとしつつもスピード感に溢れた演奏の中で、比較的ストレートな形でマイク・パットンの「ええ声」が堪能できるキラーチューン「Superhero」、じわりじわりとマイクの変態ボイスが迫ってくるかのような「Separation Anxiety」「Motherfucker」などなど聴きどころは満載。
セールス的に最高潮だった「ANGEL DUST(1992年)」のころ、ミクスチャーバンド全盛だったのにFNMだけなぜか「BURRN!」系にカテゴライズされててたんだけど、ハードロック・メタルの素養が全くない俺でもFNMだけはちゃんと向かい合えてたのは、ロディのニューウェイヴ感が大きなポイントだったのでは、と思っている。だってあきらかに不自然だもん、この人だけ。
新作ではロディのNW感は脇役に徹している感じがあったので、今年2月の来日ライブを楽しみにしていたんだけど、機材トラブルでキーボードが最後までまともに鳴らなかったのはホント残念で仕方がなかった。
あ、あと当然会場で伊藤政則も見かけた。