[カーテン開くように]最近聴いてたCD20150313[スカートを脱がしたい]

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KITTY, DAISY & LEWIS - The Third
老若男女問わずUKの大物たちがこぞって大絶賛している3姉弟の3枚目。



今作のプロデューサーはなんとEX:The Clashのミック・ジョーンズ。ミックが彼らのファンだったことからプロデュースの話が実現したそうで、カムデンの空き家を改築したレコーディングスタジオに4か月生活を共にして作られたアルバムなんだそうだ。 レインコーツのメンバーのご子息3姉弟というだけでもシビれる存在なのにミックまで加わって、何なんだこの「満を持して」感・・・。

その「満を持して」感は冒頭の"Whenever You See Me"からどーんとあらわれている。ビンテージ機材にこだわりまくって、マナーに忠実なロックンロール、スカ、ロカビリーみたいなオールドスクール・トラディショナルな音楽をクールに現代の音楽として聴かせる魅力は前2作にもいかんなく発揮されていたと思うんだけど、今作は更に追い風の中作られた闇雲な説得力が備わっている気がした。



ミック自身も参加している"Feeling of Wonder"は、彼らと絡むんだったらココ!と言わんばかりの「らしい」曲だし、中期以降はルーツミュージックに忠実な表現になっていったクラッシュ同様、ミックのプロデュースがハマりまくっている。ずるい。

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JACK LADDER AND THE DREAMLANDERS - PLAYMATES

シドニー出身のシンガーソングライターJACK LADDER AND THE DREAMLANDERSの4枚目。FKAツイッグスを手掛けたウェールズの売れっ子プロデューサー、ディヴィド・レンチがエンジニアを担当。南半球の日差しをまったく喚起させないヤズーみたいないなたい電子音にニック・ケイヴみたいなぶっとくて低い歌声。



Reputation Amputationなんてマリリン・マンソンみたいな暗黒感。



21世紀入ってからのオーストラリアのシーンてほんと面白い人多いな。ちょっと昔だったらAC/DC、ビージーズ、INXSくらいしか思いつかなかったのに、、、って何年か前に言ったことと同じこと言おうと思ったけど、そうじゃなくて面白いミュージシャンは元からたくさんいたんだけど、インターネットの普及で「見つかった」だけだな。そうだそうだ。


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THE POP GROUP - CITIZEN ZOMBIE

ブリストルの元祖怒り新党ことTHE POP GROUP、なんと35年振りのニューアルバム。

・・・と、さらっと言ってみたけど、自分の意志で音楽を聴き始めたころから思い返してみても「35年振りのニューアルバム」なんて、リアルタイムで出会ったことはなかった。
結構恐る恐るアルバム聴いてみたら、彼らに一番似合わない言葉だけど「洗練されている」と思った。なによりポップ。すこし気持ち悪くなるくらい。
もう少しかみ砕くと、ON-Uから遡ってPOP GROUPにたどり着いた俺からすると、PIGBAGやRip Rig & Panicとか(もちろんON-Uも)、そして彼らが蒔いた種から派生したブリストルシーンも含めて、POP GROUP以降の彼らのキャリアと真摯に向き合った、非常に地続きなアルバムだな、と思った。

ポストロックの最右翼アルバム"Y"みたいな、エキセントリックなボーカルとノイジーでフリーキーな演奏ばかりに目がいってしまいがちだけど、たとえば今作収録の女性コーラスも入ったファンクナンバー"Mad Truth"とか"S.O.P.H.I.A."を聴いていると、根っこは粘り気のあるダブ風味の白人ファンクバンド。それは先日の単独来日公演ライブを観ても同様の印象だった。



かと思えばダビーな音処理とフッキーなサビが絡む"Nowhere Girl"なんて清清しささえただようバラードだし、"Nations"はSuicideみたいだ。

失われた年月を取り戻したオッサンは、どんな若者よりもヒリヒリしているし、エネルギッシュだ。


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タルトタタン - プロ・デューサー

これまでにアゼル&バイジャン、tofubeats、坂部翔、津野米咲、吉村秀樹などなど旬(でいてアクの強い)作家陣がプロデュース/楽曲提供してきたタルトタタン。今回は進行方向別通行区分の田中が作詞作曲担当、しかも1発録りなんだそうだ。ついに真打登場!だと思ったら全曲2分ちょっとしかなくて、あっという間に終わってしまう。その割にじわじわ来る。そして相変わらず人を食ったいい歌詞。

しかしタルトタタンてホントすごい。これだけメンバーの入れ替わりが激しくて、当然初期メンもいなくて、プロデューサーも作品ごとにチェンジしてて、メッセージもぶれそうなもんなのにほとんどぶれていない印象。
たとえそのメッセージっていうのが悪魔将軍ばりの空洞感だとしても、この一貫性は頭が下がる。