[あのモンスターが僕らを]俺チャート2014その1[すぐ食べる]

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テキトー更新がたたって、気がついたら2015年になってしまいました。あけましておめでとうございます。今年もご贔屓のほどを。
去年聴いてよかったなと思ったアルバムを順不同で数回に分けてレビューしていきます。

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hiromi trio project - alive

上原ひろみって、Trio Project以前のキャリアは、なんというかフュージョンぽいアプローチのイメージがして、チェックはしていたものの、のめりこむほどの興味は沸かなかったんだけど、おととし?のフジロックの映像を観て衝撃受けて、アルバム買って聴いてみたら、ますますショックを受けた。



人は圧倒的な才能を目前にすると、バカテクとか天才とかバークリー大学を主席で卒業とか、そういう安直で簡単な言葉を使って形容しがちだけど、このアルバムは、めくるめく緊迫と弛緩の連続で、その根元にあるのは決して偶然ではない緻密な計算で、更にもっと根底にあるのは、純粋で汗臭いパッションに違いない、と思ってる。

ジャズのことなんてさっぱりわかんない俺だけど、今年聴いたどんなアルバムよりもスリリングでエモーショナルな内容だった、ということは条件反射で理解できた。

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スカート - サイダーの庭

冒頭から変拍子で雪崩のように押し寄せる「さかさまとガラクタ」、スゥーッと頃の隙間に入り込むような「アポロ」、ラストを飾る「すみか」まで、20代の音楽とは到底思えない古き良きを知るグッドメロディと丁寧に練りこまれたアレンジ、メランコリックな歌詞は前作「ひみつ」と較べると「サイダーの庭」というタイトルにもマッチした風通しがいい雰囲気。



過去の音楽に対する敬意、そしてただの懐古主義に陥らずに、未来をしっかり見つめながら、ちょっと小洒落たコードを鳴らしつづける姿勢というのは圧倒的に正しいことだと思う。当代きってのポップ・モンスター。


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Boy George - This Is What I Do

とにかくボーイジョージの、栄光と挫折を経験し、酸いも甘いも経験し尽くした人間だけにしか出せないような、ドライでいながら艶っぽい声が沁みるアルバム。
彼のこれまでのソロキャリアってハウスのDJやってた?とかしか知らないんだけど、なんかそういう影響もあるのか、レゲエを主体にしながらもUK特有のクールなファンクネスが出てる曲とかもあって、陰鬱でも暑苦しくもなくって、フツーに楽しめる内容だった。

で、このアルバムを聴いた後に、カルチャークラブの再結成の一報が入り、なおさら胸が熱くなっている。



「More Than Silence」とか「Runaway Train」とか「Like I Used To」とか、タイトル見るだけでテンションあがる。2015年、一番楽しみにしているバンドかもしれない。


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TAMTAM - Strange Tomorrow

ダブというジャンルは昔から大好物だ。
もちろん様式美というか、無限の空間とさまざまな温度感を演出するサウンドスタイルも好きなんだけど、ヒップホップ、ロック、ジャズ、エレクトロミュージックetc.どんな音楽にもアジャストできる親和性の高さ、というのも大きな要因だ。
そういう観点から見ると、いわゆるダンスホールやルーツレゲエではない、もっと白人的価値観のダブを主体にした90年代以降の日本のバンドは、すこし物足りないというのが本音だった。音を通して見える音像・人物像が、なんかみんなふわふわした感じに見えるバンド(ルーツはフィッシュマンズ)か、二言目には大麻やアッパー系のドラッグの話をする、近寄りたくないほど悪そうな感じ(ルーツはオーディオアクティブ)か、そのどちらかに偏ってしまっている気がしたからだ。

日本ダブ史というものがあったら、あら恋あたりと並べて語られるんだろうけど、ダブマナーに忠実なミックス、えげつないゲートエコーは「目的」ではなく「手段」として鳴らされ、そしてそれに絡みつく、お茶の間にも通用するフッキーなメロディライン。音の性格上、どうしても高尚・孤高な存在になりがちで、どうしてもそれがスノッブな距離感をかもし出すことの多かった先人たちと比較すると、ものすごくフィールドレベルの近い、等身大の目線のメッセージ。こういうバンド、ありそうでなかった。

今年聴いた若手の日本のバンドだったら、ぶっちぎりで彼らだなと思う。