[学校なんかじゃ]最近聴いてたCD20130812[クールでいられない]

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スカート / ひみつ

胸の真ん中がぽわっと熱くなるような無意識のうちにぐいぐい引き寄せられてしまうメロディと、シティポップ風味のテンションコードで綴るスケール広めのアレンジ、そしてそれを気持ちがいいくらいに裏切る澤部渡のぜんぜんチャーミングじゃないルックス、どこを切り取ってもすばらしすぎる。



そんな彼を世間はほっとく訳なくて、(((さらうんど)))のセカンドで「Neon Tetra」作曲してたり(これもすばらしい)して既にカクバリズム周辺で火がついているし、今年のnano mugen サーキットにも出演したらしい。CD屋で「21世紀のマシュー・スウィート」と書いてあったPOPも納得。ジャケも「火の玉ボーイ」みたいで、その筋のお兄様方にはたまんないだろうし、まだ若いのにこれはすばらしいなぁ。

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Zaz / Recto Verso

ストリートからスタートして、あれよあれよという間にシンデレラストーリーを駆け上っていまやフランスを代表するシンガーとなったザーズのセカンド。

ファーストの大成功から3年ちょっと。こじんまりとした(世界的に見ればこじんまりとしているジャンルでもないんだけど)バスク・ジプシーミュージック・シャンソンにまとまるわけでもなく、かといってもっとマスに向けて近代的なポップスの要素を取り込むわけでもなく、最小限の楽器で味付けされ、独特なハスキーな声を持つ彼女のニュートラルな素材のよさを最大限に生かした、ほんといい塩梅に理想的なセカンドアルバム。

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挫・人間 / 苺苺苺苺苺

筋肉少女帯でもthe Cureでも神聖かまってちゃんでもなんでもいいけど、社会と自分との折り合いがつけられない、"自分以外の世界を恨む"的な価値観をもったフロントがカリスマと化して突っ走っているようなバンドは、それこそ一人で宅録やってれば話は別だけども、もともとバンドやってる奴なんてそれなりにコミュニケーション能力がないととてもじゃないけど長続きするはずないから、よくよく考えると構造からおかしいと思うのだ。
カリスマはカリスマでコミュ力意外と高いし、ほかのメンバーはなんかクールにいなしていて、歌われてる「社会との断絶」なんて結構どうでもいいんじゃないかなー?みたいな妄想が、悪い意味で若干聴き手をクールダウンさせてしまう、みたいな。



その点、挫・人間がもっている"自分以外の世界を恨む"的な価値観は、文科系の部室に集まって、クラスのイケてる連中に対する恨み節を垂れ流しているイケてない奴らのような感じがして、少なくとも全員が同じ方向をしっかり向いている気がする。それはとても信頼できるし、すこしほほえましさすら感じる。

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pugwash / The Olympus Sound

アイルランドのXTCチルドレン(っつっても結構ベテラン)PUGWASHの2012年リリースのアルバム。ご本家アンディ・パートリッジ+デイヴ・グレゴリー、THE DIVINE COMEDYのニール・ハノン、ベン・フォールズという豪華ゲスト陣、そして約束の地アビーロード録音という完璧な布陣。



「スカイラーキング」と「オレンジズ&レモンズ」の間あたりのXTC:「ペットサウンズ」以降のビーチボーイズ:ヤマタツ=8:1:1というマニアにはたまらん内容。見た目がゴツ過ぎるボーカル・トーマスの声もアンディ・パートリッジと間違えてしまうときすらあるし、「Fall Down」の冒頭のコーラスは山下達郎のサンソンでも始まるんじゃないかと思ってしまうほどのFM感。日本でなかなか手に入らないのよねー。