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スピッツ - 醒めない

先行シングル「みなと」がものすごいいい曲でそのまま買ってしまった。



メンバー全員アラフィフとは思えないエバーグリーンの代表格というべき国民的な人気バンドで、慕う若手ミュージシャンもたくさんいて、お茶の間で観てても安心できて、、、もちろんスピッツにはいい曲がたくさんあるのは知ってるんだけど、こうやって改めてアルバムを聴くと、歌詞の世界に愕然とする。

スピッツってデビュー時から、言葉の隙間の中に無限の物語が詰まっているかのような情景描写と、ときにアクセントだけにプライオリティを置いたような言葉遊び、そしてそれを男女問わず嫌味ない状態まで純粋抽出したかのようなチョイスをすべて計算ずくで構築する唯一無二の存在だ、というのはそこまで熱心じゃない俺みたいなリスナーにも明確で、どの時代の曲にも必ず狂人的なパンチラインを擁した曲が存在しているんだけど、今作のそれは「子グマ!子グマ!」のサビ前「はんぶんこにしたすごい熱い中華まん、頬張る君が好き」じゃないかなと思ってる。



「醒めない」「みなと」そしてこの「子グマ!子グマ!」の冒頭3曲だけで簡単にマウントとられてしまう。物腰柔らかいのにものすごい腕力。



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The Avalanches - Wildflower

僕らの世代からすると、サンプリングミュージックが一番アツかったのは95年~2000年だったんじゃないかなと思う。

テクノ・ハウスではファットボーイスリムやケミカルブラザーズのようなビッグビート勢が一斉を風靡して、ヒップホップ寄りの土壌からはDJ SHADOWやカット・ケミスト、ジェームス・ラヴェルみたいなアーティストが支持を得て、サンプリングを生バンドのフォーマットで再解釈するグランドロイヤル周辺のバンドも依然として人気があったし、(個人的な肌感覚だけど)当時一番ダサかったディスコっぽいノリを力技でオシャレでかっこいい音楽に仕立てたダフト・パンクやジャック・ル・コントみたいなアーティストも登場、そしてそれぞれの下に有象無象のアーティストがうごめいている・・それぞれ出所が違うものの、皆同じ場所を向いていたような気がしていたし、世紀末の喧騒もあいまって、誰かが何かを出すたびにソワソワしていたような気がする。

そんな時代の最後に登場したのがアヴァランチズ。狂気のカット&ペーストでスイートでロマンチックな世界を映しだしたアルバム「Since I Left You」は大事件だったし、リリース後、サマソニに出演した際のDJセットは、これがターンテーブルを使ったサンプリングミュージックの理想だと思ってしまうくらいの極上のパフォーマンスだったのを鮮明に覚えてる。



そんな傑作アルバムから16年、、、なんの前触れもなく届いた新作。恐る恐るプレイボタンを押すと、びっくりするほど何も変わってなかった。仲間内で最近のバンドの90年代回帰みたいな話をよしていたんだけど、このアップデートされてなさっぷりは、もはやマンネリではなくエヴァ―グリーン。今のシーンに需要がある音楽かどうかはわからないものの、1stアルバムに漂う、全体を優しく包み込むようなロマンチックな輝きは全然衰えてなくて内心ホッとした。