[あなたの何を]最近聴いてる20220504[許せばいいの]
Guedra Guedra - Vexillology
モロッコ出身のDJ/プロデューサー、ゲドラ・ゲドラ。以前紹介したイタリアのトラックメーカーClap!Clap!に近い手法でモロッコのローカル音楽グアナを中心にエネルギーあふれるチャントを程よい湯加減のクールなトライバルベースに料理していてかっこいい。グアナはもともとリラと呼ばれる祈りと癒しを目的とした儀式の場で演奏される音楽で、コミュニティの中で共同でホームパーティのように行われ一晩中続くんだそうだ。さしずめレイブだ。
アルバムでは聴きこみたくなるような繊細な要素がたくさんあった半面、Boiler Roomでのライブが老若男女問わず血が湧く感じのプリミティブなエレクトロニックダンスミュージックに昇華していて最高にかっこいい。にしてもなんなのこのお面。そしてとなりのおじさん。
Diplo - Diplo
Major Lazerやスクリレックス+ジャスティン・ビーバーとのコラボアルバムなどでお馴染みDiploのセルフタイトルとなったソロアルバム。
先行シングルとなったミゲルとのコラボ「Don't Forget My Love」はトロピカルっぽいギターが心地よいハウス/EDM(MVがヤバい)ではあるものの、「Let You Go」はピアノリフ・ブレイクビーツで展開するオールドスクールなハウスだし、Busta Rhymesとコラボした「Right 2 Left」はラップ+トライバルなパーカッションという90年代半ばごろの石野卓球リミックスみたいなノリで、EDMシーンのど真ん中というわけではないものの現在のダンスミュージックシーンの重要アーティストの新作にしては、Back 2 Basicというかちょっと懐かしい雰囲気があって嬉しい。
Sam Mehran - Cold Brew
Test Iciclesのメンバーだったサム・ミーランの去年発表となった遺作。
曲タイトルも数字のみのものもあったりするところからも分かる通り録りためていたデモをもとに家族・周囲の友人らが編集したものなんだそうだ。ギターインストアルバムとのことだが、きっと歌が乗る予定だったんだろう。もう聴くことはできないけど歌が乗ったらどんなアルバムになっていたんだろう。
Test Iciclesはディスコパンクが流行ってた頃に聴いていた時期があったけど、数年ぶりに聴いた彼のソロ作品がこんなにドライブ感のあるキャッチーなギター+温かみのあるポップなサウンドで余計悲しい。
Sparks - Terminal Jive
ミュージシャンのドキュメンタリー映画をこれまでたくさん観てきたけど、先日観たスパークスのドキュメンタリ映画「スパークス・ブラザーズ」はその中でもずば抜けていい映画だった。
この手の映画は作り手の着地点があらかじめ決まっていて受け手が知りたい肝心なことがいま一つわからなかったりすることも多いけど、「スパークス・ブラザーズ」ではスパークス特有のユーモアを交えながらも酸いも甘いもしっかり見せていて時には泣きそうになったし、最終的には2人のライフスタイルまで言及するような内容でミュージシャンの端くれとして背筋が伸びる思いだった。まだ観てない人はぜひ観てほしい作品。
話が逸れたがスパークスの7作目「Terminal Jive」はシンセディスコの神様ジョルジオ・モロダーとがっつり組んだ1979年発表の「No.1 In Heaven」の延長線上のアルバムで、普段のスパークスの作品にもあるユーモアはそのままにディスコの狂騒の後の賢者タイムのような趣きの冒頭「When I'm With You」が特に秀逸。沁みる。