[越境したツバメも]最近聴いてる20210404[どこ帰るんだ]
Claud - Super Monster
ブルックリン出身の21歳SSWクロード・ミンツのデビュー・アルバム。
TikTokで一躍ブレイクしたbeabadoobeeなどにも通ずるメランコリックでセンチメンタルな極上のベッドルームポップスなのだけど、日々の出来事を淡々と歌い上げるさまがWeezerのリヴァースにも通ずる実生活でさえない感じ(憶測)が曲からにじみ出てて、それが聴き手のすぐ近くで語り掛けてくれているようでとてもいい。
前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン - PIZZICATO ONE
2001年に解散したピチカート・ファイヴ小西康陽のソロ・プロジェクトPIZZICATO ONEのビルボードライブでの演奏を収録したアルバム。
以前も取り上げた2015年発表の2nd「わたくしの二十世紀」では、ピチカート・ファイヴ時代のレパートリーを市川実和子、UA、YOU、小泉今日子、吉川智子etc.個性豊かな11人のヴォーカリストを迎えてセルフ・カヴァーしたアルバムだったけど、このライブではすべて小西自身によるボーカル。
90年代にあれだけモダンな音楽とスタイリッシュなビジュアルで日本全国を「渋谷系」で埋め尽くしたピチカートファイヴとは真逆の、ひとりで向き合う音楽。それがコロナ禍が続く現在と妙にシンクロしてしまう。
決して上手いボーカルとは言えないかもしれないけれど、無骨さの中にそんな「喧騒の後の男」のブルースみたいなものがビシビシ伝わって沁みる。
Stephen Malkmus and Friends - Can's Ege Bamyasi
Pavementのスティーヴ・マルクマス師匠がドイツの舎弟バンドVon Sparと共にCAN『Ege Bamyasi』を全曲演奏したライブ盤。2013年のレコードストアデーにリリースされたものが最近サブスク配信されたもの。
いわゆるクラウト・ロックのゴッドファーザー的存在のCANの代表作と言っていいこのアルバムもスティーブの手にかかるとだいぶ表情が変わってくる。7拍子が淡々とループする"one more night"なんか、ペイブメントのラストアルバム"Terror Twilight"のような豊かな表現力に満ちた演奏になってる。
しかしレジェンドバンドの名盤再現ライブを他のアーティストが演奏する企画ライブって超面白いな。誰に何を演奏させるか想像するだけでワクワクする。
Sam Gendel - Fresh Bread
LAを拠点とした先進的ジャズ・トリオINGAのリーダーにしてLouis Coleのライブなどでもたびたび登場する奇才Sam Gendelの2012年から録りためた秘蔵音源全52曲、計3時間44分にも及ぶ圧巻のアーカイブ集。
ヒップホップやサイケデリックなど幅広い音楽性を元手にジャズスタンダードを再構築した前作「SATIN DOLL」は初見殺しの多いジャズの敷居の高さを感じさせないジャズの近未来を感じる内容だったのだけど、こちらはAphexTwinやWagon Christみたいなエレクトロやカット+ペースト的な手触りもあって、ヴェイパーウェイヴっぽい懐かしさと温かみがうっすら感じられる内容。4時間近くあるから家でずっと鳴らしておきたい。
Sam Gendelといえば最近Vampire Weekendのリミックス?セッションアルバム「40:42」にも参加していて、こちらも素晴らしいので是非。