[新しい]最近聴いたCD20160811[朝です]

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The Avalanches - Wildflower

僕らの世代からすると、サンプリングミュージックが一番アツかったのは95年~2000年だったんじゃないかなと思う。

テクノ・ハウスではファットボーイスリムやケミカルブラザーズのようなビッグビート勢が一斉を風靡して、ヒップホップ寄りの土壌からはDJ SHADOWやカット・ケミスト、ジェームス・ラヴェルみたいなアーティストが支持を得て、サンプリングを生バンドのフォーマットで再解釈するグランドロイヤル周辺のバンドも依然として人気があったし、(個人的な肌感覚だけど)当時一番ダサかったディスコっぽいノリを力技でオシャレでかっこいい音楽に仕立てたダフト・パンクやジャック・ル・コントみたいなアーティストも登場、そしてそれぞれの下に有象無象のアーティストがうごめいている・・それぞれ出所が違うものの、皆同じ場所を向いていたような気がしていたし、世紀末の喧騒もあいまって、誰かが何かを出すたびにソワソワしていたような気がする。

そんな時代の最後に登場したのがアヴァランチズ。狂気のカット&ペーストでスイートでロマンチックな世界を映しだしたアルバム「Since I Left You」は大事件だったし、リリース後、サマソニに出演した際のDJセットは、これがターンテーブルを使ったサンプリングミュージックの理想だと思ってしまうくらいの極上のパフォーマンスだったのを鮮明に覚えてる。



そんな傑作アルバムから16年、、、なんの前触れもなく届いた新作。恐る恐るプレイボタンを押すと、びっくりするほど何も変わってなかった。仲間内で最近のバンドの90年代回帰みたいな話をよしていたんだけど、このアップデートされてなさっぷりは、もはやマンネリではなくエヴァ―グリーン。今のシーンに需要がある音楽かどうかはわからないものの、1stアルバムに漂う、全体を優しく包み込むようなロマンチックな輝きは全然衰えてなくて内心ホッとした。


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The Monkees - Good Times!

モンキーズ、20年ぶりのオリジナル・アルバムで、未発表曲と外部の作家による提供曲が半々という内容の結成50周年記念アルバム。

XTCのアンディ・パートリッジやウィーザーのリヴァース、ノエル・ギャラガー&ポール・ウェラー、デスキャブのベンなど、すばらしいソングライター陣が寄ってたかって「俺の思うモンキーズ」を体現している。それぞれのソングライターが歌っている絵が容易に想像できるくらいにいい味出してる。まるで庵野秀明がゴジラ撮るようなもん。
しかも相手はもともと「まな板の鯉」になるスキルが高かったモンキーズ、そこは千両役者。



と、それだけでも満足な感じなんだけど、60年代の未発表音源に手を加えて再録した曲がまたいい。なんでこれこれまで世に出てなかったの?っていうレベル。とくにメンバー書き下ろしの"I Know What I Know"なんてもう沁みる。。。

英語圏に旅行に行くといつも思うのは、ビーチボーイズとモンキーズは本当に特別な存在なんだなということ。テレビつけたら今でもシリアルフードのCM曲で流れるレベル。爺さん婆さんも、お父さんお母さんも、そしてその子供たちも慣れ親しんでるポップソングなんてちょっと日本で思い浮かばない(今一瞬「あ、キヨシローの、、、」て思ったけどあれもモンキーズのカバーだったw)。ビートルズやビーチボーイズと同じように、モンキーズというナショナルスタンダード。


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PAPOOZ - GREEN JUICE

フェミニンなボーカル+美少年ルックスも納得、エルメスのショーでのパフォーマンスなどで、先にファッションシーンで話題になっているシャレオツパリジャン2人組・パプーズのアルバム。



"Ann Wants To Dance"のキュートで甘ったるい感じも、夜のスナック風味をめっちゃ薄めた「ルビーの指輪」みたいな"Simply Are"も、"Trampoline"みたいな曲に垣間見るトロピカルな感じも、ルー・リードを5億倍アンニュイにしたような"Wanted"も、全部まとめてフランスの憎たらしいくらいのシャレオツ・フィルターに通して歌われると、クソ暑い今年の夏の気温も3度くらい下がることうけあい。

AirとかThe DøとかMellowとか、パリってこういうスタイリッシュで非の打ち所のないアルバムを作る美少年デュオ、数年に1度出てくるよね。


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The Clash - Sandinista!

大昔、音楽誌でブルーハーツのヒロトがクラッシュを紹介していて、「ブルハも好きなクラッシュってバンドは、凄いパンクバンドらしいぞ」って記事を鵜呑みにし、初めてこのアルバム1枚目1曲目の"7人の偉人"を聴いたんだけど、トーキングヘッズみたいなファンクナンバーで、ブルハみたいにディストーションギターがギャンギャン鳴ってなくてひどくがっかりした思い出がある。

とはいえ、「Give'em Enough Rope」や「白い暴動」みたいな初期のアルバムよりも、いまだによく聴くのは「ロンドンコーリング」、「コンバット・ロック」、そしてこの「サンディニスタ!」だったりする。ポリティカルなメッセージや性急で刺激的な、いわゆる「パンクの音」ではなく、レゲエ/ダブ、トラディショナル、ブラックミュージックetc...初めて聴いたときは、そのギャップが全然理解できなかったんだけど、クラッシュ直系の真性パンクス・マノネグラが出てきて、やっとこの辺の良さがわかった気がする。



この「サンディニスタ!」もCD2枚組(発売当初はアナログ3枚組)全36曲ジャンルレスな内容で、ジョーの歌声が沁みる"レベル・ワルツ"、ゲートエコーで綴るダブ長編"one more time"→"one more dub"、アイリッシュトラッド漂うバイオリンが印象的な"ルーズ・ディス・スキン"、子供が歌う"出世のチャンス"(これは世界一ズルイ歌だと思う!)と、全体的に散漫といえばそれまでなんだけど、それぞれの曲に音楽を楽しんでいる雰囲気があって、それが今でも聴ける理由なのかもしれない。