この夏にキャリア総括BOXセットをリリースするブラーのシングル。シングルリリースを記念して実施されたルーフトップUstを眠い目こすりながら観てたけど、なにより4人ともたのしそうだったのが救いだった。
「Under the Westway」は、油のような水中(=オイリーウォーター)にある底なしの螺旋階段をぐるぐる降りるような、いかにもブラーらしいバラード。グレアムが途中で抜けた現状の最新アルバム(といっても10年前だけど)「think tank」は、個人的にはあまりリピートして聴いてないんだけど、グレアムがギターを担当した唯一沁みるナンバー「Battery in Your Leg 」の延長線上にある曲なんじゃないかと。
そして「The Puritan」は、ビートボックスとチープなシンセから始まり、途中でズドンと入るリズムだったり、ユーモラスでオリジナリティあふれたギターワークだったり、ちょっとだけ調子っぱずれな後半のコーラスといい、まるで彼らの最高傑作「Modern Life Is Rubbish」の収録曲のような、こちらも非常にブラーらしい曲。これで去年リリースした「Fool a Day」があればもうアルバムの中核担ってんじゃん!アルバム出せよ!頼むから!
そしてデーモン・アルバーンがレッチリのフリーと、デーモンとポール・シムノンによるバンドThe Good, the Bad and the Queenでもドラムを担当していたアフロビートの名手トニー・アレンの3人によるバンドのアルバム。
ファン歴20年の俺ですら、デーモンのマリミュージックへの傾倒というのは、時にイマイチよくわからんところも正直あるのだけれど、このバンドに限って言えば、エリカ・バドゥなんかも歌っているものの、フリーのベースがガツッとアメリカンファンクミュージックに舵を切ったことで、全盛期のトーキングヘッズやユッス・ンドゥールのようなスリリングでありながらも聴きやすいアフロミュージックになっていて、この感じだったら楽しく聴けるなあ、という内容。個人的にヒプノティック・ブラス・アンサンブルがキていたのでこのゲスト参加はうれしい限り。
で、もちろんデーモンも歌っているんだけど、なんというかとてもいい声。デーモン自身が制作したオペラ「Dr.Dee」もそうだけど、ここ10年ですごく味のあるシンガーになったと思う。
JJAMZ - Suicide Pact
活動休止したネオモッズガールバンドThe Likeの中心メンバーで、当代きっての小悪魔キャラZ Berg嬢の新バンドJJAMZのアルバムです。スタープレイヤー揃いのバンド構成が鳴らす英米ギターポップのいいとこどりみたいなアウトラインの中で、デボラ・ハリーばりの主張強めハスキーボイスのエリザベス譲が自由奔放に歌っています。
とにかくBrie Larsonと共演した「Never Enough」のMVが素晴らしい。胸をギューッと掴まれるような内容。最後のカットとかもう息が詰まる。しかし英語圏の人にとって"NEVER ENOUGH"って言葉は日本人には到底理解できない言葉の力があるんだろうな。
Miike Snow - Happy to You
Miike Snowの2nd。バイオグラフィをざっとなぞると、2007年にスウェーデン・ストックホルムにて結成され、ブリトニー・スピアーズの"Toxic"などを手がけた売れっ子プロデュースチームBloodshy & Avantとしても活動するChristian KarlssonとPontus Winnbergの2人に、アメリカ人シンガーAndrew Wyattという、ものすごいキャリアをもつ3人組です。
10年に発表された1stは俺的にここ数年でのフェイバリットといってもいいくらいにすばらしいアルバムだったのだけど、今回も期待を上回る内容。いやすごいなこれは。
ボーカルのカラーにマッチしたフックのつよいメロディラインと品に満ちた丁寧なサウンドで、いわゆるチルウェイブ的な側面も持ちつつも、70年代のトッド・ラングレンのような、ファンクだのサイケだのソウルだのロックンロールだのをダーッっと鍋に突っ込んで48時間煮込んだら、それぞれのエッジーな部分は相殺されて、まろみ度高めのソフトロックになりました、みたいなちょっといなたい感じが若干あって、そこがとてもくせになるところ。
MVが訳がわからないSFで続きものになってて超面白い。
バンド名の"Miike"は三池崇史に由来しているという情報もあるらしいんだけど本当か?だとしたらミイケスノウって読むのか?