Best Coast / Crazy for You
今年最重要レーベルのひとつことMexican SummerからリリースされたLAの男女2人組。サーストン・ムーアも彼女たちのファンを公言しているらしいし、twitterでナンパしたリヴァース・クオモとコラボレーションを実現させたりと、中心メンバーのべサニー嬢は早くもアメリカンポップアイコンと化しているっぽい。ジャケットにも表現されている海と太陽の日差しと枯れたリヴァーヴ(とデブ猫)。オルタナ・ビーチポップとでもいうような枯れながらもぐにゃっとした音像。そう、ウェストコーストはこうでないと。
Hardfloor / TWO GUYS THREE BOXES
アシッドハウスキング・ハードフロアの3年ぶりの新譜。相変わらずと言ってしまえばそれまでなんだけど、彼らと同じ時期にデビューした当時のテクノアーティストが商業テクノに染まっていったり、流行りものを追っかけて原型をなくして消えたり、そうでなくても行方がわからなくなってしまったりする中、彼らはAcperienceをリリースした92年からずーっと同じ音を鳴らし続けてきていて、このパワーは本当にすごいと思う。
「Silver Submarine」とか「In Acid We Trust」とか「TB or Not TB」とか、このユーモアのセンスも「Lost in a Silver box」とかつけてたデビュー当時同様秀逸。「昔はテクノ超好きでクラブ通いしてたもんよ。でも最近のエレクトロとかぜんぜんわかんねぇ」とお嘆きのそこのお父さん!たまにはハードフロアの新譜も買ってあげて!ブランクあっても違和感なく聴けるから。
Mark Ronson & the business intl. / Record Collection
エイミー・ワインハウスやリリー・アレンを手がけた名プロデューサー、いまや時の人マーク・ロンソン。以前紹介したthe likeもこの人のプロデュース。この人特有の100年プリントみたいな70年~80年代のムードが相変わらず色濃く漂うこのニューアルバムでは、ゲストにQティップ、デュラン・デュラン、ボーイ・ジョージ、ザ・ドラムス、これも以前取り挙げたmiike snowなんかも参加しているんだけど、リスペクトしているレジェンドを今のモードのフィルターに突っ込んで化学反応を起こす、みたいなよくある手法とはちがって、レジェンドもろともレイドバックしている、みたいな。とにかく溶け込みあってる。
そう考えるとこの人の中に一貫して流れる、ダサさ紙一重のものを「これはかっこいい!」と自信もって提示する確信、そしてその根拠となっている臭覚は本当にすさまじい。
Moscow Olympics / Cut The World
「モスクワ・オリンピックス」なんて昭和厨(=俺)にはたまんないキーワードをバンド名にしている時点で即購入。なんだこのジョイ・ディヴィジョンみたいな、ネオアコ的な爽快感の中にも屈折した陰鬱さが秘めている感じは。スウェーデンのレーベルなのに珍しいなぁ、と思ったらフィリピンのバンドだった。結構本気で身の毛がよだった。