Gorillaz / Demon Days

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ブラーのデーモンの覆面プロジェクト・ゴリラズのセカンドです。
ipodのCMソングになってる先攻シングル「Feel Good Inc」をはじめとして、ヒップホップの方法論をベースにさまざまな音楽要素が渾然と、しかしながらスタイリッシュにコンパイルされていてて聴きやすい内容になっております。プロデューサーは1stのダン・ジ・オートメイターに代わり、今回はジェイZの『ブラック・アルバム』とビートルズの『ホワイト・アルバム』をミックスした時の人、DJデンジャー・マウスが担当。個人的には企画モノだと思っていたゴリラズがセカンドをリリースするというところに驚きを隠せませんでした。

アルバムの詳しい解説は本CDの日本盤ライナーノーツが非常に秀逸なのでそれを読んでもらうとして、ちょっと話が逸れるけど、僕が思うブラー、というかデーモン・アルバーンという人間について思うこと。
虚無感たっぷりのマンチェスターソング「ゼアーズ・ノー・アザー・ウェイ」でデビューして以来、アイドル的な甘いルックスと、いやらしいくらいに懐深いポップ・ボキャブラリー、そして天井知らずの知性と並外れた批評性を兼ね備え、本国イギリスでは現在までナンバー・ワン・ポップ・バンドに君臨している、そりゃあもう非の打ち所のない存在でして。

しかしながらブラーとしては「song 2」まではアメリカでのヒットにまったく恵まれなかった。それが覆面バンド・ゴリラズであれよあれよという間に800万枚のメガヒットを記録。なぜか?ダン・ジ・オートメイターをはじめとしたアメリカの人気クリエイターが参加しているから?メイドインUK的なアティテュードを全面にに押し出していたブリッドポップ時代の印象が払拭しきれてないから?否、単純にアメリカ人はデーモン・アルバーンという人間に興味がなかっただけだと思うんですよね。僕はブラーの大ファンだし、いい曲たくさん書くし(しかもすごいハイペースで)、ライブでのあの存在感というのは現役バンドじゃ屈指の存在だと思うんだけど、ロック・ミュージックにとってもっとも重要な要素のひとつの「リアリティ」という部分が、ぱっと見の印象では完璧超人デーモンにはまったく感じられない。それだけにデーモンが「完璧すぎて鼻につく」っていう感情もすごくわかるんですよね。

でも「くず野郎/お前は何なんだ?」と、のっけから自分を悶々と問い詰める名曲「ビートルバム」から始まるセルフタイトル「blur」あたりから、それまでのショートコントのように物事を俯瞰して描写していた作詞スタイルから、内向的な内容にシフトチェンジしてきた。サウンド的にもブラーを構成するあしゅら男爵のもう片面ことグレアムの趣味が頭角を表し、USオルタナティヴサウンドがごりごり全面に出てきた。鬼才ウィリアム・オービットがプロデュースした次作「13」でロックとしての面白さは頂点を極めたんだけど、ここで「オルタナのび太くん of UK(ちなみに「オルタナのび太くん of US」はウィーザーのリヴァース)」グレアムが脱退。紆余曲折して完成した「シンクタンク」では、あからさまにグレアムの不在をふられた男の女々しさ丸出しで嘆くデーモンの姿は、それこそロックだったし、そんな彼がまたゴリラズを走らせて、軽やかに戦っている。この男はどんどん面白くなっていくような気がします。

「僕のロックには嘘がある。不幸にして、不幸なことがなかった。それが僕のコンプレックス」

映画「アイデン&ティティ」での主人公・中島の独白は、それこそデーモン・アルバーンに与えられるセリフではないんでしょうか。

コメント
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デーモン、確かに人間味に欠けるよね。昔、アルバム「13」が出る前位に、ミュージシャンの彼女、ジャスティン、だっけ(なんてバンドか忘れた)、に振られて傷心っていう報道があったとき、ああ、彼みたいな完璧に見える美男子でも振られるのね・・・、と感慨深かったものでした。

ゆきゆきてゆっきー 2005/06/13 #5638
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→#5638

エラスティカのジャスティーンですね。
超美女!ってわけでもない(失礼!でもかっこいい感じだった)のに何故?とか勝手に思ってた、僕。

最近はちょっとハゲてきたからねー、否が応でも人間味がある。

マル 2005/06/14 #5645
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何かの記事で別れたあとのジャスティンのインタビューを読んだのですが、デーモンがあまりかまってくれなくて淋しかったっぽい感じのコメントでしたよ。一緒に住んでいる意味がわからなくなったとか。別れ話の曲を書く時間があったのならばもっとその時間を私へ注いでくれていれば、私達は別れていなかったと思うというような後ろ髪引かれてるっぽいコメントをしてました。良い男は自分が振られたように女性を振ると、これまた何かで読んだことがありますが。笑

名無しがーるど 2006/06/02 #8320
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ビートルバムは自分を問い詰める歌詞ではないと思います。あれはジャスティンがヘロイン中毒だった事を題材に書かれた詩です。彼女のドラッグ中毒もお別れの要因です。ちなみに、ノーディスタンス・レフト・トゥーランは「イッツオーバー(もう終わりさ)」という歌詞から始まり「僕を見かけたら背を向けて去ってくれ。。。」っていう歌詞もあります。ブラーおたくでした。笑

名無しがーるど 2006/06/02 #8321
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→#8320
→#8321

コメントありがとうございます。
なるほどー!なんか納得してしまいますね。>良い男は自分が振られたように女性を振る
いまはもう1児の父、そんな女々しいことは言っていられないですね、デーモンも。

そういや、数日前テレビでノーマン・クックのインタビュー流れてて、「(アルバム「Palookaville」で)生楽器をフィーチャーしたのはなぜ?」という質問で、「(「think tank」のレコーディングで)ブラ―といっしょにやって、『これはすばらしい!』とおもったからさ」なんていっていました。なんか嬉しい。
マル 2006/06/03 #8322